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■ゲイ体験談 5月の風 前半
僕と優史(まさし)が初めて会ったのは、高1の5月。最初の体育で1組の一番後ろに居た。僕は2組の真ん中より少し後ろ。 この日はバスケで、番号をかけていった結果、優史が同じチームだった。

何本かゲームをしているうちに、他のチームがゲームをしてたら優史に声をかけられた。
優『なぁ宮野。水のみに行かん?』
さわやか100%の笑顔で見られ、緊張で僕は、
健「冷水器の水とかちょっ苦手やし、やめとくわ。」
とか不思議な返答で返してしまった。

ゲームが始まると、優史は背が高いのを活かしシュートを入れまくる。チームの中でも、動けない方の俺にボールがまわると、意地で敵が取りに来る。 ラスト1分もない。互角のゲームにゴール下でボールを受けた…俺。敵ともつれ、ボールを優史にバウンドパス。と同時にコケさせられた俺。鼻血が出てる俺。

最初の体育で鼻血とかカッコ悪い……。 優史の受けたボールは、パスを回されながら再び優史に戻り、華麗に3Pシュート。ゲームセットに終わりのチャイム。 優史はすごくかっこよかった。

そして名の通り優しかった。 体育教員が授業終わりを告げると、優史は俺の方まで寄って来て、
優『一応保健室いくやろ?ついてったる。』
て言ってきた。
健「ちょっとの鼻血やから。ティッシュとんに行くだけやぞー?」優『ええねん。いこーぜー。』

って言って一緒に保健室まで行くことにした。 その間に、サッカー部に入ってることと、身長が177あることだけ聞いた。鼻血くんは喋んなって言われたけど、おんなじくらい優史もしゃべんなかった。 (まだこの時は、ゼッケンにかいてあった苗字の『丹羽』しか知らない。)

ちょっとした沈黙のなか、保健室にたどり着いた。保健室には、(読者の予想に反して)保健室の先生と同じクラスの女子二人がおり、片方はヒザに絆創膏を貼ってもらってるところだった。宮野あたしらに欲情?と笑われ、優史もクスッと笑った。またその笑顔がさわやかだった。

体育で当たり障りのない会話を毎回交わすなかで、僕は優史の笑顔に惚れていた。しかし、同じクラスでも、部活でもない以上、それ以上はなにもなかった。高校2年の春。あんな爽やかボーイが理系のはずがない…。そう思いながらも、夢のために理系のクラスに。僕の学校には理系は1学年に1つ。2年間一緒。

いた!優史や。 舞い上がりながら、ちょっと喋りかけに行った。 でも同じ他愛のない会話だったし、優史はいつもあんまり喋らないし僕ばかり喋る。 でも、これだけ覚えてる。
優『これからもっとなかよなれるな。』&さわやか笑顔。

クラスの係りも同じ図書委員を話し合って選んだ。他の友達たちが僕に同じ「掲示係」を勧めたが、しっかり断った。 授業は全部同じ。1年の時にはなかった喜びだった。

優史は、クラスでは目立たず座って周りの誰かと話すだけ。でも、やっぱり優しさは光っていた。 みんなが立候補しないものは、優史が立候補するし、クラスで起きたイジメも、優史が助けて幕が閉じた。

夏休み前のテスト初日。急に、
優『テスト終わったら遊びにこぉへん?』

もちろんオッケーした。 そして、意外な提案。
優『テスト良かった方が、一個ゆぅこと聞くってどう?』

「ええよ~。例えばどんなんよ?」率直に優史の考えが気になった。 『メルアド教えて、とか。昨日携帯買ってん。』と携帯をポケットから出してニッコリ。当時、クラスで持ってなかったのは、優史だけだった。 「そんぐらい今教えたるわ、アホ。」 クラスで、最初に聞いたのが僕らしく、またそれも嬉しかった。

テスト9教科が終わり、テスト返却日になった。学校全体はざわめいてたが、理系クラスは静かだった。 数学は、クラスで一番やった。幸先がいい。 物理も、平均より遥か上で、今回調子がいい、そう思った。 でも、あとの結果は平均程度で、地理は欠点だった。

『俺んちで結果出すか。』
ちょっと焦ってる優史を見て、地理は数学が埋めてくれることを信じた。
「せやな。覚悟決めるか。」
『俺んちなんもないから。』
なんとなく想像はついた。
「わかったわかった。あさったるから。」

高校から徒歩5分の優史の家。 外面塗装はかわいらしいのに、部屋のなかはモノクロな壁紙絨毯。殺風景な、ほんとうにあとは黒いシーツのベッドと、ガラス天板のテーブル、本棚だけ。 「マジであさるとこすらねぇのなぁ。」 俺の、部屋に入っての第一声だった。

テーブルに向い合わせで座り、出されたグレープジュースにお互い口をつける。
『じゃぁテストやな。』
「王さまの言うことは、絶対やな。」
『王さまゲームやん。』
1つずつ出てくるお互いのテストを見ながら、携帯の計算機で足していく。足していくなかで、優史の古典が40点だったことに安心した。 俺は、549点。 互いの携帯を閉じ、交換する。 ドキドキしながら、そっと携帯を開いた。

557

負けた。8点の大きな差は、やっぱ地理の32点みたいだった。
『ぅおっしゃー。なににしよっかなぁ。』&ニッコリ
「なんやねん。はよせぇやぁ。」
『じゃぁ今から一個質問するから、正直に答えてな。』
「なんや、そんなんでええんかよぉ。なんかしろとかやないんや。」

『一番、、誰が好き?誰と付き合いたい?』
正直青ざめた。

嘘偽りは約束を破るし、告白をここでしろってこと。言わなければ、それ以前に俺は優史と偽りの関係を続けていく。でも、もし男も好きなんて知れたら仲良くすらしてくれんかもしれんし、……

いろいろ考えた。
『やっぱ度胸いる?男ならバンとやで。誰にもいわへんから。』
俺は、…優史の今までの優しさにかけることにした。

「優史。」
『どしたん?』
「優史。」
『聞いてるから。』
「俺の、付き合いたい好きな子は優史や。」
『……どした?え、えと…』

「こんなときに、大事な優史に、嘘はいわへん。」

しばらく沈黙が続いて、優史が口を開いた。 『ありがとう。俺は健太のこと好きやけど、そういう意味やない。すまん。』
「うん。」
ちょっと泣きかけ俺。
『ほんまに度胸いることしたな。言いふらされたらとか、思わんかったん?』
「思た。けどいわへんって言うたから、信じた。」
『そうか、大丈夫や。いわへん。』
「うん。」
『俺からしゃべるん、苦手やねんな。』
「うん、知ってる。」
この時ばかりは優史は必死に会話をつづけようとしてた。

『毎日恋愛対象としてみてたん?』
「それだけやない。」
『毎日トイレでちらっととかは…』
「ない。」
『体育の着替えガン見…』
「してることもある。」
……………
『キスしたいとか思ってる?』
「うん。」
『おかずって…』
「当たり。」
『エッチしたいとか…』
「うん。」

『そっか。俺鈍感ですまん。でも、そうやってちゃんと言えるのってすごいと思うし、健太頑張ったんがすごいわかる。ありがとうな。』

いきなり抱き締められて、 くちびるどうしがくっついた。

後編へ続く

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