米アイオワ州に住むクリスチャン女性のヴィクトリア・チルドレスさんが、自身の経営しているパン屋でキリスト教の信仰に従って同性愛者のカップルのためのウェディングケーキ受注を拒否したことを受け、法的措置を受ける可能性が生じている。
彼女の経営する「ヴィクトリアのケーキコテージ」に女性の二人連れが入店、女性たちの関係性を知らずに、客である彼女らに対し、試食用の5つのケーキを焼いたという。試食中にヴィクトリアさんは、二人連れの女性のひとりに対し、「お連れの方は妹さんですか?」と尋ねたところ、「いいえ、彼女は私の同伴者です」と言われたという。
チルドレスさんはその答えを聞いて、自身がキリスト教の信仰をもっているため、その客のためのウェディングケーキを作ることはできないと答えたという。
チルドレスさんは、「私のクリスチャンとしてのライフスタイルの信念から、彼女たちのためのウェディングケーキを焼くことはできませんでした。この決断をするのは、経営者としての私の権利だと思います。これは私が持っている決断権を行使したのであって、(同性愛者の)彼女たちを差別したわけではありません。
彼女たちの側の問題によるのではなく、私の側の問題として、私は神様とともに歩んでいるのであり、私が神様に対して答えるべき答えに相応しい決断をしただけです。彼女たちにはお客様として最大限丁寧に対応させていただいたつもりです」と述べている。
女性たちは「私たちはただケーキが欲しくてパン屋さんに行ったのです。イエス様が愛しておられることは知っていますが、そのことをパン屋で私たちに彼女が語る必要はなかったと思います。彼女のビジネスのために私たちの振る舞いが厳しく非難されたようなものです」と述べている。
アイオワ州公民権法では2007年に同性愛者の差別を撤廃するように改正が行われた。教育、公共施設、信用、住宅、雇用の分野において同性愛者に対し、同性愛を理由に差別することが禁止された。同性愛者の結婚も2009年に合法とされていた。
同性愛者らがパン屋で受けた「偏狭な応対」に対する声明を理由に、クリスチャンとしての信念を貫いたに過ぎないチルドレスさんのパン屋へは誹謗中傷のメールが溢れかえるようになってしまったという。
チルドレスさんは「私の信条のために攻撃されています。しかし私自身はとても物静かで、物腰柔らかに話す人間です。しかし信仰に対しては、それを曲げることはできません」と述べている。
一方、米クリスチャンの間からは、チルドレスさんの利益を追い求めなければならない経営者でありながら、クリスチャンである姿勢を譲らない立場に称賛する声も寄せられており、
「今日ではビジネスの利益をないがしろにしてまでも信条を貫く人があまりいない中で、チルドレスさんのような方がいらっしゃるのを誇りに思います。多くの経営者は損失を恐れて信仰を曲げてしまっています」との声も聞かれている。
アイオワ州では同性愛者らがチルドレスさんのパン屋に対する不買活動をフェイスブック上で始めている一方で、チルドレスさんのクリスチャンであり経営者であるという姿勢を貫く生き方を支援する人々も生じている状況にあるという。
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