オバマ大統領は1月21日、ワシントンで開かれた2期目の就任式で演説を行いました。実は今回、ニューヨーク・タイムズなど欧米の代表紙が大きく取り上げた2期目の重要政策の内、日本の報道機関が取り上げないものがありました。同性婚です。日本の大手メディアである、朝日新聞や読売新聞などの全国紙を一読したかぎり、まったく報道されていませんでした。ともすれば、1期目の重要課題がほぼ踏襲されるという印象しか受けません。
実は、一方で欧米のメディアで大きく注目を集めたのが同性婚でした。CNNによると、歴代大統領で初めて同性婚を就任演説で行ったのがオバマ大統領です。ワシントンポストは、市民権運動と女性の権利向上への長年の取り組みと、同性婚を結びつけたことを取り上げ、同性婚がオバマ大統領にとって最重要課題の1つである事を示唆しました。
また恒例の演説前に朗読される詩は、ゲイの詩人、リチャード・ブランコによる就任式のために作られたオリジナルの詩であり、この事も多くの海外メディアで取り上げられました。
このように世界的なイベントである米国の大統領就任式に関してさえ、「同性婚」というテーマに関しては日本の報道機関はまったく無視しました。なぜこのような事が起こるのでしょう?日本の状況に関しては次回にリポートする事にして、まずオバマの新政策が日本以外の国で注目される要因を、世界各国の状況を報告しながら明らかにしたいと思います。
社会制度の不備が招く悲劇
愛し合う個人同士がお互いの意思に基づいて結婚を決め、その関係を社会的に保障するという制度が、この10年近くの間に欧米では同性間の関係にも拡大されてきました。これは結婚という社会制度に保障されないかぎり、どうしても巻き起こる不利益が同性間のパートナーに起きてきたためだと思います。例えば、
「パートナーの死に目に立ち会う事を、連絡がなかった家族から拒否される」
「長年実質的な夫婦関係を続けてきても年金を受け取れない」
「パートナーの緊急の手術に際して同意する権利が認められない」
など数え切れないケースが報告されています。このため同性同士の婚姻を認めたり、それに準ずる権利を付与する動きが出てきました。私自身、自分と自分のパートナーとの将来を考えたとき、いったいどういった形になっていくのだろうと、不安に思うこともあります。
政治がこのように同性婚やパートナーシップに注力する背景には、長年にわたる当事者の運動の成果が何よりもあります。また現在パートナーシップが認められているイギリスで、同性婚を保守政権の与党の党首が推進しようとする理由には、同性婚を支持することが政策が現代的であることの象徴であり、ただの人気取りにすぎないという批判もあります。
加えて、イギリスではあまりに同性愛者の人口が多いため、この層を無視すると選挙の票だけではなく、公務員、特に徴兵制がない国での国防軍などでの人的資源獲得に影響を与えるため、必要に迫られて積極的な支持に転換しただけとの見方もあります。
アジアでも後れを取る日本
欧米が先行する中で、アジアで近代化を牽引してきた日本が、明確に遅れている分野がこの問題です。日本より先に台湾では政治的な動きが加速しています。昨年12月には台湾法務省が同性婚が望ましいか、それともパートナーシップ法制定が望ましいか検討する協議会の中で、アジアではどのような制度が妥当かを論議し始めました。また従来より最大与党の党首は同性婚を支持しています。すでに台湾のLGBTパレードは同性婚をスローガンに掲げ、アジア最大規模のパレードを実現しています。
こうした動きは、日本の政治やビジネスにも影響を与え始めています。結婚した同性カップルが日本へ転勤する場合、同然転勤命令を受けた本人だけでなく、配偶者にもビザが必要となりますが、企業や政府機関での同性のパートナーの地位や待遇に、日本政府や企業が対応出来ていないようです。日本が国際的に政治、ビジネスで中心的な拠点でありたいのであれば、この問題は避けて通れません。次回は日本での動きに関して報告したいと思います。
私自身が今すぐに同性婚したいかは別として、ゲイである自分は、たとえば自分の愛するパートナーの最期に、ゲイであるため立ち会うことが出来ないかもしれないと考えると、ただただ悲しい気持ちになります。私は自分の知り合いに、「日本でも結婚という選択肢があったらいいな」とつぶやいたことがあります。その知人からは「日本ではまだ早いよ」とたしなめられました。
死に目に立ち会う権利に「早い」「遅い」があるのか、オバマ大統領が今回、「同性愛者である兄弟、姉妹が、他の者たち同様、法の下で平等に扱われるようになるまで、私たちの旅は終わらない」と演説するのを聞いて胸が熱くなりました。
掲載元:
東洋経済 ONLINE
本命パートナー探しなら出会いサポート万全のサムライスタイルで♪純愛恋活応援サイトです★