■ゲイニュース：「ホモ差別論争」に発展? アニメ雑誌「BLイラスト禁止」の余波
アニメ専門誌『月刊アニメージュ』（徳間書店）11月号の投稿イラストコーナーに「BL（っぽく見えるもの）・女装イラストはほどほどに」というお願いが掲載され、ネット上で物議を醸している。
このお願いは読者投稿コーナー「マイ・アニメージュ」に掲載され、
「『BLっぽく見えるイラスト』と『男子キャラの女装イラスト』については、『もっと載せてほしい！』という読者さんと『絶対にやめてほしい！』という読者さんとで真っ二つに分かれています」
と説明。さらに、
「描きたい場合はあくまでさり気なく、全面に押し出さないようにしていただけると嬉しいです。BLの場合は、せめて受け攻め表記やカップリング表記はご遠慮ください」と注意がなされ、「『見たくない』という読者さんへの配慮をどうかお忘れなく！」
と結んでいる。BLとは「ボーイズラブ」の略語で少年同士や美青年同士の恋愛を描いた作品の総称。かつては「JUNE」「やおい」などと呼ばれていたもので、その愛好者は「腐女子」と呼称される。昨今、ケータイ向け電子書籍市場が盛り上がりを見せているが、女性ユーザーの8割が利用経験があるとされ、その大半がBL作品を愛好しているといわれる。その市場規模は急速に拡大しており、一昔前は隠れキリシタンのごとくBL趣味を隠してきた女性たちもネット上で堂々と公言するようになった。
BL愛好者が増えた一方で、BLに嫌悪感を抱く人々がいるのも事実。だが、特定の表現だけを控えるべきという呼び掛けは差別的だという意見もあり、これを受けてネット上では以下のような賛否両論が巻き起こった。
「他にも発表する場はあるんだから、わざわざ一般誌にBLを送るなよ」
「ホモはネットか専門雑誌でやろうぜ ただのアニメ好きの人にも悪いだろ…それに『これだから腐女子は…』とか言われるの嫌だろ」
「ホモ好きなんて気持ち悪いと思われて当たり前」
「『あまりにエッチなのはダメですよー』でいいのに、BLだけ自重しろって変な感じ」
「男女のカップルは描いてもいいのに男同士だとダメなのはどうして？」
「リアルの同性愛は『差別するな』なのに、BL表現は『異端だから隠れてろ』っておかしい」
自重すべきという肯定派はBL表現が苦手な人達だけでなく、腐女子の中にも「公にやることではない」という意見を持つ者が少なくないようだ。その一方で、これが表現の自由の侵害や性的マイノリティへの差別につながると危惧する声もある。賛否両論の状態だが、最も賛同が多かった意見は「載せるか載せないかは編集が自分たちで判断すればいいだけ」というものだった。
『アニメージュ』のお願いに関しては、同誌は「描くな」とは言っておらず、露骨な表現を避けてほしいと呼び掛けているだけであり、差別や表現の自由の侵害とまではいえないだろう。だが、BL表現だけを特定して注意喚起したことに引っかかりを感じてしまった人が多いようだ。急速に市場拡大し市民権を得つつあるBLだが、やはり「一般」の壁は越えられないのかもしれない。
画像引用元：「月刊アニメージュ」公式サイト http://animage.jp/
掲載元:エックスドロイド
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