■ゲイニュース:日本でも「同性婚議論に高まりを」
欧州を中心に先進国の多くでは同性婚に寛容な姿勢が広まり、米国のリベラルな州でも徐々に認められつつある現状とは裏腹に、日本、そしてアジアの多くの地域で同性婚が人々の意識に上ることはない。
しかし大統領選の年を迎えた米国で先ごろ、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が慎重ながらも同性婚への支持を表明し、太平洋の反対側の保守的な日本にも希望の光が射し始めた。
「アメリカの大統領が、アメリカではこれから同性カップル支援していきたいと表明したんだって言うだけで、もしかして私いてもいいんじゃない?って思える」と東さんは語る。
「オバマ大統領が同性婚を支持しますと言ったら、みんなが知るところになる。その影響力の大きさというのは全然違う」
東さんのパートナー、ひろこさん(34)もうなずく。「オバマ大統領がそういうスターパワーの行使をしたことが本当に私はうれしかった」
オバマ大統領の宣言は、同性愛者の権利拡大を求めてもっと大きな声をあげていこうとの国際的な動きの先駆けとなった。
米国のゲイ・プライド月間である6月、オバマ政権は同性愛者の権利擁護団体「カウンシル・フォー・グローバル・イコーリティ(Council for Global Equality、世界的な平等のための委員会)」の代表、マーク・ブロムリー(Mark Bromley)氏を日本へ派遣した。来日したブロムリー氏は報道陣に対し、同性カップルの平等は人権の中の重要な理念のひとつだと語った。
自らも同性の夫との間に2歳の娘を持つブロムリー氏は、さらにヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官の言葉を引用した。
「マイノリティーの人々が自分たち(の力)で自分たちを十分に守ることは不可能で、マイノリティーが十分に安全な場所を見つけ、十分に受け入れられるためにはマジョリティー(多数派)の人々(の力)が必要だ、と。それには法や政治的な支援、社会空間などが必要だ」
■優先されない「民意」
日本の同性愛者たちはオバマ政権の意思表示を歓迎したが、日本在住25年の男性同性愛者デビッド・ワグナーさんは、その効果ははかないのではないかと懸念している。「日本を含む、民意が優先されないような国々では、あまり大きな影響は及ぼさないのではないかと思う」
「日本は他の多くの場所よりも明らかに寛大だ」。日本ではゲイやレズビアンがあからさまな敵意に出くわすことは少ない。それは受容的態度というよりも「不可知論的で、異なる宗教を混ぜ合わせる」ような国民性のせいだとワグナーさんは言う。しかし、その一方で「日本の寛大さにも限界がある」とも指摘する。
オバマ氏が現職の米国大統領として初めて同性婚への支持を表明してから1週間後、東さんは日本のレズビアンやゲイ、バイセクシュアルのコミュニティにとってささやかな勝利をもたらした。同性カップルの結婚式を東京ディズニーランド(Tokyo Disneyland)で挙げることができることになったためだ。ただし日本の法律は同性婚を認めていないため、式は法的根拠をもって行われるものではないことをディズニーランド側は確認している。
一部の国ではすでに長年認められている様々な結婚の形を日本の法律は認めておらず、法で認められた婚姻と同等の権利も与えていない。
婚姻に関する法律は第2次世界大戦以降、ほとんど変化がなく、婚姻届は夫婦同氏でなければならないとされている。また女性は離婚すると6か月間、再婚を禁じられており、離婚後300日以内に生まれた子供は自動的に前夫の子供とされる。相続では同じ姉妹兄弟でも、嫡出子に比べて非嫡出子の権利が限られている。
女性の法定婚姻年齢は16歳だが、男性は18歳まで待たねばならない。子供のいる夫婦が離婚した場合、片方の親は完全に親権をあきらめなければならず、多くの場合、それは父親が疎遠になり、いないような状態になることを意味している。
■海外の議論が参考に
日本の離婚率は1960年代に上昇し始めた。それまでの数十年間、日本で離婚する夫婦は年間7万組程度だった。
厚生労働省の統計によると、2011年には約66万組が結婚した一方で、23万6000組近くが離婚している。
立命館大学の二宮周平(Shuhei Ninomiya)教授(法学)は、家族という概念がどのように21世紀の日本のニーズに適応するかという議論を活性化させるために、同姓婚に関する海外の議論が長期的に見て役立つだろうと述べる。「(例えば)日本の家族法は離婚した後は親子が交流することや、別れた夫婦が親権を共有するということを予定していない。多様な家族像を否定しているところがある」
「また婚外子差別は、親が婚姻しているかどうかで決めている。それは『正統な結婚を守るために』正当化されてきた」と同教授は語る。しかし「オバマ大統領の同性婚支持をきっかけとして、家族は十人十色だと、そういう広がりを持ったメッセージとして私たちは受け止める必要がある」
東さんのパートナーのひろこさんは、社会規範に従わせようとするプレッシャーが強い日本で、同姓婚に関する議論はすべての人にとって大事だと言う。
「マジョリティーもマイノリティーも手を組みながら運動していかないと、絶対に法律は変わらない」
(c)AFP/Harumi OZAWA
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しかし大統領選の年を迎えた米国で先ごろ、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が慎重ながらも同性婚への支持を表明し、太平洋の反対側の保守的な日本にも希望の光が射し始めた。
「アメリカの大統領が、アメリカではこれから同性カップル支援していきたいと表明したんだって言うだけで、もしかして私いてもいいんじゃない?って思える」と東さんは語る。
「オバマ大統領が同性婚を支持しますと言ったら、みんなが知るところになる。その影響力の大きさというのは全然違う」
東さんのパートナー、ひろこさん(34)もうなずく。「オバマ大統領がそういうスターパワーの行使をしたことが本当に私はうれしかった」
オバマ大統領の宣言は、同性愛者の権利拡大を求めてもっと大きな声をあげていこうとの国際的な動きの先駆けとなった。
米国のゲイ・プライド月間である6月、オバマ政権は同性愛者の権利擁護団体「カウンシル・フォー・グローバル・イコーリティ(Council for Global Equality、世界的な平等のための委員会)」の代表、マーク・ブロムリー(Mark Bromley)氏を日本へ派遣した。来日したブロムリー氏は報道陣に対し、同性カップルの平等は人権の中の重要な理念のひとつだと語った。
自らも同性の夫との間に2歳の娘を持つブロムリー氏は、さらにヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官の言葉を引用した。
「マイノリティーの人々が自分たち(の力)で自分たちを十分に守ることは不可能で、マイノリティーが十分に安全な場所を見つけ、十分に受け入れられるためにはマジョリティー(多数派)の人々(の力)が必要だ、と。それには法や政治的な支援、社会空間などが必要だ」
■優先されない「民意」
日本の同性愛者たちはオバマ政権の意思表示を歓迎したが、日本在住25年の男性同性愛者デビッド・ワグナーさんは、その効果ははかないのではないかと懸念している。「日本を含む、民意が優先されないような国々では、あまり大きな影響は及ぼさないのではないかと思う」
「日本は他の多くの場所よりも明らかに寛大だ」。日本ではゲイやレズビアンがあからさまな敵意に出くわすことは少ない。それは受容的態度というよりも「不可知論的で、異なる宗教を混ぜ合わせる」ような国民性のせいだとワグナーさんは言う。しかし、その一方で「日本の寛大さにも限界がある」とも指摘する。
オバマ氏が現職の米国大統領として初めて同性婚への支持を表明してから1週間後、東さんは日本のレズビアンやゲイ、バイセクシュアルのコミュニティにとってささやかな勝利をもたらした。同性カップルの結婚式を東京ディズニーランド(Tokyo Disneyland)で挙げることができることになったためだ。ただし日本の法律は同性婚を認めていないため、式は法的根拠をもって行われるものではないことをディズニーランド側は確認している。
一部の国ではすでに長年認められている様々な結婚の形を日本の法律は認めておらず、法で認められた婚姻と同等の権利も与えていない。
婚姻に関する法律は第2次世界大戦以降、ほとんど変化がなく、婚姻届は夫婦同氏でなければならないとされている。また女性は離婚すると6か月間、再婚を禁じられており、離婚後300日以内に生まれた子供は自動的に前夫の子供とされる。相続では同じ姉妹兄弟でも、嫡出子に比べて非嫡出子の権利が限られている。
女性の法定婚姻年齢は16歳だが、男性は18歳まで待たねばならない。子供のいる夫婦が離婚した場合、片方の親は完全に親権をあきらめなければならず、多くの場合、それは父親が疎遠になり、いないような状態になることを意味している。
■海外の議論が参考に
日本の離婚率は1960年代に上昇し始めた。それまでの数十年間、日本で離婚する夫婦は年間7万組程度だった。
厚生労働省の統計によると、2011年には約66万組が結婚した一方で、23万6000組近くが離婚している。
立命館大学の二宮周平(Shuhei Ninomiya)教授(法学)は、家族という概念がどのように21世紀の日本のニーズに適応するかという議論を活性化させるために、同姓婚に関する海外の議論が長期的に見て役立つだろうと述べる。「(例えば)日本の家族法は離婚した後は親子が交流することや、別れた夫婦が親権を共有するということを予定していない。多様な家族像を否定しているところがある」
「また婚外子差別は、親が婚姻しているかどうかで決めている。それは『正統な結婚を守るために』正当化されてきた」と同教授は語る。しかし「オバマ大統領の同性婚支持をきっかけとして、家族は十人十色だと、そういう広がりを持ったメッセージとして私たちは受け止める必要がある」
東さんのパートナーのひろこさんは、社会規範に従わせようとするプレッシャーが強い日本で、同姓婚に関する議論はすべての人にとって大事だと言う。
「マジョリティーもマイノリティーも手を組みながら運動していかないと、絶対に法律は変わらない」
(c)AFP/Harumi OZAWA
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