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■ゲイニュース:米芸能界にカミングアウトの波
ワシントンD.C.
米エンターテインメント業界に今、突如として「カミングアウト」の波が来ているようだ。同性婚の是非をめぐる議論が加熱するなか、ゲイ(男性同性愛者)、レズビアン(女性同性愛者)、またはバイセクシュアル(両性愛者)であることを公にする芸能人が相次いでおり、「より寛容なアメリカ到来の兆し」だと活動家らは歓迎している。

 前週、米CNNテレビの看板キャスターでトーク番組の司会者も務めるアンダーソン・クーパー(Anderson Cooper)と、ヒップホップ・グループ「オッド・フューチャー(Odd Future)」に在籍する男性歌手フランク・オーシャン(Frank Ocean、24)が立て続けに自らの性的指向を公表し、メディアで大きく報じられた。

 米テレビ界で最も有名なジャーナリストの1人であるクーパーは2日、同じくジャーナリストでゲイのアンドリュー・サリバン(Andrew Sullivan)氏に宛てたメールで同性愛者であることを認めた。「私は今までもこれからも、ずっとゲイだ。これ以上幸せなことはなく、自分に満足し、誇りに思っている」

 これに続き、ソロアルバムの発売と全国ツアーを間近に控えるオーシャンも、自身のブログ上でかつての恋人との思い出を明かし、次のような心情を語った。「4年前の夏、ある人と出会った。僕は19歳で、彼も同い年だった」

「次の夏も、僕らはほとんど毎日一緒にいた。彼との時間はゆったりと過ぎていった。もう隠さなきゃいけない秘密はない。自由になった気分だ」

■ドラマ界でも、音楽界でも
 だが、カミングアウトをした芸能人は2人だけではない。

 米テレビドラマ界だけでも最近、「ビッグバン・セオリー(The Big Bang Theory)」でオタクの主人公を演じるジム・パーソンズ(Jim Parsons)、「ホワイトカラー(White Collar)」主演のマット・ボマー(Matt Bomer)、「アメリカン・ホラー・ストーリー(American Horror Story)」に出演するザカリー・クイント(Zachary Quinto)がカミングアウトした。

 さかのぼればラテン・ポップ界のスーパースター、リッキー・マーティン(Ricky Martin)や、ドラマ「グリー(glee)」出演女優で女性配偶者と共に2人の娘を育てる女優ジェーン・リンチ(Jane Lynch)も、同性愛を公表している。

 また、オーディション番組「アメリカン・アイドル(American Idol)」で準優勝したアダム・ランバート(Adam Lambert)は、ゲイであることを公にして全米ビルボード(Billboard)チャート1位を獲得した初の歌手となった。

 有名どころでは、ドラマ「モダン・ファミリー(Modern Family)」出演のジェシー・タイラー・ファーガソン(Jesse Tyler Ferguson)、バイセクシュアルを公言した女優アンバー・ハード(Amber Heard)、ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ(Sex And The City)」主演女優で5月に同性婚をしたシンシア・ニクソン(Cynthia Nixon)などがいる。

■「もはやスキャンダルではない」
 大衆文化における同性愛者のイメージを監視する団体「GLAAD(The Gay and Lesbian Alliance Against Defamation、中傷と闘うゲイとレズビアンの同盟)」のリッチ・フェラーロ(Rich Ferraro)氏は、次のように分析する。

「エンターテインメント業界に限らず、米国文化全体で起きているトレンドだ。ゲイやレズビアンに対して人々がより寛容になりつつある世相を反映しているのではないか。今ハリウッド(Hollywood)でカミングアウトしても、キャリアに影響することはない。もはやスキャンダルではないのだ」

 一方で、米メジャーリーグ(MLB)では今までにゲイだと公表した選手はいない。また、女性カントリー歌手として初めてレズビアンであることを明かしたシェリー・ライト(Chely Wright)は、曲の売り上げが落ち、一部ライブ会場の使用を禁止されたと話している。

 それでも、状況は15年前とは全く変わった。女優でトーク番組司会者のエレン・デジェネレス(Ellen DeGeneres)が当時、レズビアンだと公表したときの反動はすさまじく、米百貨店大手JCペニー(JC Penney)はデジェネレスが出演していた人気ドラマ「エレン(Ellen)」へのスポンサー提供を打ち切った。そのデジェネレスは今、JCペニーの顔として堂々と広告に登場している。

■大統領選を機に迎えた転換期、さらなる課題も
 カミングアウトの波は、11月の大統領選で再選を目指すバラク・オバマ(Barack Obama)大統領が5月、米大統領として史上初めて同性婚を支持する姿勢を公に表明した後さらに勢いを得たようだ。LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の有権者団体は直ちにオバマ氏支持を打ち出した。

 米国では現在、同性婚は6州と首都ワシントンD.C.(Washington D.C.)で合法化されているが、連邦レベルでは認められていない。11月にはメーン(Maine)州、メリーランド(Maryland)州、ワシントン(Washington)州で同性婚合法化の是非を問う住民投票が行われる。

 支援団体「全米ゲイ・レズビアン・タスクフォース(National Gay and Lesbian Task Force)」のダーリーン・ニッパー(Darlene Nipper)事務局次長はAFPの取材に、「とても興味深い時期を迎えている」と述べた。「たくさんのことが短期間に起きている。いろいろな意味で、われわれは転換期にある」

 ただニッパー氏によれば、同性婚のみならず残された課題はまだ多い。特に米国の大半の州で現在、性的指向を理由にした職場での差別から従業員を守る法律がないことは「見逃すことができない」問題だという。

 カミングアウトするかしないかは、現状では職場で差別を受けるリスクを負うか否かの選択だとニッパー氏。「もし差別を禁止する連邦法が制定されれば、(カミングアウトによって)本当の自分を明かした一部の人々が今得ている安心感を、もっと多くの人たちが感じられるようになる」と話している。(c)AFP/Robert MacPherson

AFP BBNews
http://www.afpbb.com/

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