「男と女とその間の人」が繰り広げる可笑しな物語、「ビューティフル・サンデイ」が、上演されている。一見ごく普通のファミレスの店長だが、じつはかなりの堅物で女性に触れるとジンマシンがでる秋彦(葛山信吾)が、ゲイの浩樹(桐山照史)と「同棲」するようになってから3年。そこに突然、「この部屋の前の住人だった」という女性、ちひろ(瀬奈じゅん)が飛び込んで来て…?? 朝日新聞デジタルでは、秋彦役を演じる葛山信吾さんに、この役に取り組むにあたって思うこと、最近の舞台での活躍について、役者としてのこれからの展望などの、お話をうかがいました。
物語の舞台は、秋彦のマンションの一室だ。一見、ごく普通のファミレスの店長だが、じつはかなりの堅物で女性に触れるとジンマシンがでる秋彦が、ゲイの浩樹(桐山照史)と「同棲」するようになってから3年。そこに突然、「この部屋の前の住人だった」という女性、ちひろ(瀬奈じゅん)が飛び込んで来る。
「男と女とその中間、3タイプの人間が、お互い悩みをぶつけ合う。その悩みは、じつは誰もが抱えている悩みであり、人はそうやって生きていくものだということが描かれている」のが、この作品の魅力だという。「男性」の代表ともいえる秋彦役については、「非常に『男』らしい男性。僕自身より『男』だなあと思った」と話す。
ちひろ役の瀬奈じゅんとは、「アンナ・カレーニナ」に続く共演となる。「アンナ…のときは、役としての絡みがそれほどなかったから、今回共演できるのを非常に楽しみにしていた」そうだ。「とても女らしい人だと思うけれど、やっぱりどこか頼れるところがある。胸を借りるつもりでぶつからせてもらっています」と話した。
浩樹役の桐山照史については、「とにかく爽やかで、礼儀正しい人。挨拶されただけで、空気がさーっと晴れるような人」と評する。ゲイの同居人という関係性について「正直、少し不安なところもあったけど、『ああ、彼で良かったな』と思った」のだそう。
最近は舞台での活躍が著しい葛山だが、意外にも「ミュージカルへの参加は『アンナ・カレーニナ』(2006年・初演)が初めて」だった。田舎暮らしを愛する純朴な青年レイヴィン役は「三重の田舎から出て来た自分とも重なっていて、とても好きな役」と愛着を感じている。もともと「歌うこと」は大好きだったため、「お芝居の中の複雑な心境も、歌をプラスすることで、ストレートに表現することができる」ミュージカルは、演じていてとても楽しいそうだ。
宝塚男子部の歴史を描いた「宝塚BOYS」にも出演した葛山、「あの作品に出て以来、まるで自分自身が宝塚にいたかのように錯覚している」というくらい、縁を感じている。その後も宝塚出身者との共演の機会が多いが、「宝塚時代に男役をかっこよく演じていた姿を知らないのが、逆に幸せなことかも(笑)。もし知っていたら、こちらが遠慮してしまいそう」とも。
最近の課題は、体力づくりだ。「ミュージカルとの出会いが、もう10年早かったら、もっといろいろなことができたのに、と正直思う」、だが「年を重ねた自分が、どんな味を出して行けるのかが楽しみ」でもある。「ビクター・ビクトリア」(2011年)での、マフィアのキング役のような、これまでにあまりなかった渋い役にもどんどん挑戦して行きたいという思いがある。
舞台人として心がけていることを聞いたところ、「僕は、舞台人として、という意識は浅い。むしろ、仕事でも家庭でも、日々のことを一つひとつ一生懸命やっていきたい」との答え。これが、葛山信吾という役者の味を象徴しているようで、とても印象的だった。
インタビューの後、稽古場を少し見学させてもらった。とにかく台詞の掛け合いが面白い。その流れや間をみながら、演出家が3人の立ち位置や仕草などを、どんどん変化させ、それによってまた3人の芝居が変わって行く。本番でも変化が止まらない舞台になりそうだ。
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http://beautiful-sunday.jp/
朝日新聞デジタル
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